副業は勤務先に言うべき?シングルマザーが知っておきたい就業規則と住民税の仕組み
「副業を始めたいけれど、今のパート先に知られたらどうしよう」。シングルマザーの方から届く相談で、お金の不安と同じくらい多いのがこれです。生活がかかっている本業を失うわけにはいかない——その慎重さは、まったく正しいものだと思います。
この記事では、勤務先と副業の関係について、①そもそも副業は禁止できるのか、②就業規則のどこを見ればいいのか、③住民税を通じて職場にどう伝わるのか、の3つを整理します。制度の運用は自治体や勤務先によって違うので、最終的な判断は必ずお住まいの自治体・所轄の税務署・お勤め先でご確認いただく前提でお読みください。
副業を禁じているのは「法律」ではなく「勤務先のルール」
民間企業で働いている場合、副業そのものを禁じる法律はありません。厚生労働省が公開しているモデル就業規則も、2018年の改定で「原則として労働者は副業・兼業を行うことができる」という方向に変わり、許可制ではなく届出制の形が示されています。制限できるのは、本業に支障が出る場合、企業秘密が漏れる場合、競合にあたる場合、会社の信用を損なう場合といった、限られたケースです。
ただし、モデル就業規則はあくまで国が示した「ひな形」にすぎません。実際にあなたを縛るのは、お勤め先が自分で定めている就業規則のほうです。ここが昔のまま更新されていない会社も、まだたくさんあります。だからこそ、一般論を調べるより先に、自分の職場の紙を見にいくほうが早いのです。
💡 小技①:就業規則は「見せてください」と言っていい
就業規則は、働く人がいつでも確認できる状態にしておくことが会社に義務づけられています(労働基準法第106条)。「副業したいので」と理由を言う必要はありません。「就業規則を確認したいのですが、どこで見られますか」と総務や店長に聞くだけで十分です。
就業規則で見るべきは、この3か所だけ
全部読む必要はありません。忙しい毎日の中で確認するなら、次の3か所に絞って大丈夫です。
1つめは、「副業・兼業」「兼職」「二重就業」といった見出しの条文。ここが禁止なのか、許可制なのか、届出制なのかで、取るべき行動がまったく変わります。
2つめは、秘密保持と競業避止の条文。本業と同じ業種・同じ顧客層に関わることをすると、たとえ副業が認められていてもトラブルになりやすい部分です。
3つめは、懲戒事由の一覧。「無許可の兼業」が懲戒の対象として並んでいるかどうかで、リスクの大きさが具体的に見えてきます。
読んでも意味が分からない条文があっても大丈夫です。スマホで写真を撮っておいて、子どもが寝たあとに落ち着いて読めば十分間に合います。
公務員として働いている場合は、前提が違います
一方、公務員の方は事情が変わります。国家公務員は国家公務員法第103条・第104条、地方公務員は地方公務員法第38条によって、営利企業での兼業などが原則として制限されており、行う場合には任命権者の許可が必要とされています。
近年は地域貢献活動などを中心に許可の運用が広がってきていますが、「民間と同じ感覚で始める」ことはできません。会計年度任用職員など、働き方によって扱いが異なることもあります。該当しそうな方は、自己判断せず、必ず所属の人事担当にご確認ください。
💡 小ネタ②:「グレーなら黙っておく」がいちばん高くつきがち
あとから発覚したときに問題になるのは、副業そのものより「申告しなかったこと」であるケースが少なくありません。聞くのは気まずいですが、先に聞いてしまったほうが、結果的に守れるものは多くなります。
「住民税で職場に伝わる」の正体
よく聞く「副業は住民税でバレる」という話。仕組みを知っておくと、必要以上に怖がらずにすみます。
会社員やパートの住民税は、多くの場合、毎月の給与から天引きされています(特別徴収)。このとき市区町村から勤務先に、あなたの住民税額の通知が届きます。もし副業の分まで合算された金額が計算されていると、「支払っている給与のわりに住民税が高い」と気づかれる可能性がある——これが「バレる」と言われている経路です。
対策として知られているのが、給与以外の所得にかかる住民税を自分で納める「普通徴収」を選ぶ方法です。確定申告書や住民税の申告書には、給与以外の所得について「自分で納付」を選べる欄があります。
ただし、ここには大事な条件が2つあります。
ひとつめ。副業がアルバイトやパートなど「給与」として受け取るものである場合、この方法は使えません。複数の給与は主たる勤務先で合算して天引きするのが原則だからです。
ふたつめ。運用は自治体によって違います。たとえば東京都中野区は、令和8年度(2026年度)から、給与にかかる住民税は申告での希望にかかわらずすべて特別徴収として扱う旨を案内しています。その一方で、勤務先に届く税額通知には金額のみを記載し、内訳が伝わらないよう配慮している自治体もあります。
つまり、「絶対に伝わらない方法」は存在しません。ここは正直にお伝えしておきます。
💡 小技③:自治体名+「住民税 普通徴収 副業」で検索してみる
多くの市区町村が、この件について専用のQ&Aページを公開しています。一般論の記事を10本読むより、お住まいの自治体のページを1本読むほうが、はるかに確実で早いです。
「20万円以下なら何もしなくていい」ではありません
もうひとつ、つまずきやすいのがここです。給与を1か所から受けている人で、副業などの所得が年間20万円以下なら、所得税の確定申告は不要とされています。ここまではよく知られた話です。
ただしこれは所得税のルールであって、住民税に20万円ルールはありません。確定申告をしない場合でも、住民税の申告は別途必要になるのが原則です。この申告を忘れると、あとから「申告されていない収入がある」という形で連絡が来ることもあります。
金額が小さいうちほど見落としやすいところなので、副業を始めた最初の年こそ、市区町村の税務担当に一度確認しておくと安心です。制度の取り扱いは変わることもあるため、詳しくはお住まいの自治体や所轄の税務署でご確認ください。
隠しながら続けるのは、想像よりしんどい
ここまで手続きの話をしてきましたが、実際にお話を聞いていて思うのは、「隠す前提の副業は長続きしにくい」ということです。
通知が届く時期に胃が痛くなる、同僚との雑談で言葉を選ぶ、体調を崩しても理由をうまく説明できない。そのストレスは、収入が少し増えた喜びを簡単に上回ってしまいます。子どもとの時間をつくるために始めたはずなのに、気持ちの余裕がなくなっていく——というのは、よくある展開です。
だからこそ、就業規則を確認する順番を先にしてほしいのです。届出制であれば、出してしまえば終わります。禁止されているなら、その勤務先にいる間は別の方法を考える。判断材料さえあれば、ちゃんと選べます。
💡 小技④:「届け出たら何が起きるか」を先に知っておく
届出制の会社なら、実際に届け出た人がいるかどうかを、人事に一般論として聞いてみるのもひとつです。「制度はあるが誰も使っていない」のか「普通に運用されている」のかで、心の準備がまったく変わります。
正直に書いておきたいこと
最後に、デメリットも書いておきます。
就業規則を確認した結果、「やっぱり今の職場では難しい」という結論になることはあります。その場合、この記事は残念ながらお役に立てません。それでも、知らないまま始めて指摘されるより、ずっと安全な結末だと思っています。
また、副業に取り組めば収入が増えると保証できるものではありません。どんな仕組みであっても、成果が出るまでには時間がかかりますし、時間をかけても成果が出ない人もいます。初期費用や月額費用がかかるものであれば、その分は確実にマイナスから始まります。
この記事で紹介している LiveGood も例外ではありません。始めれば収入が入るというものではなく、続けられるかどうか、自分に合うかどうかは人によります。その前提を理解したうえで、まずは無料で仕組みだけ見てみる、という順番をおすすめしています。
今週できる3つのこと
1. 就業規則の「副業」「兼業」の条文を確認する(写真を撮っておくだけでOK)
2. 禁止・許可制・届出制のどれにあたるかを把握する
3. お住まいの自治体の住民税Q&Aページを1本だけ読んでおく
この3つが終われば、「知らないまま不安」という状態からは抜け出せます。実際に始めるかどうかの判断は、そのあとでまったく問題ありません。焦らないことも、続けるための大事な技術です。
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※本記事は2026年9月時点で公開されている情報をもとに作成しています。就業規則の内容は勤務先ごとに、住民税の取り扱いは自治体ごとに異なります。また制度は改正されることがあります。実際の手続きにあたっては、必ずお勤め先・お住まいの自治体・所轄の税務署でご確認ください。

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